今の仕事(現場技術員)をしていると、
「工事で高得点を取るポイントって何でしょうか?」
と良く聞かれます。
「強いてポイントをあげるならば、点数を付ける人とのコミュニケーションです。」
当たり障りの無いような答えに聞こえるかも知れませんが、これが私が真剣に考えて回答している答えです。
一番重要なのは「この人に頼んで良かった!」と思えるような施工ができれば最高だと思います。
この記事では、工事で良い評価を得るには、「こうしたら良くなるのにな!」「ここが不足していることが多いな」と私が日々仕事をしていて思っていることです。工事成績評定アップのコツ(その1)として、施工体制、施工状況について説明します。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
地方整備局工事成績評定実施要領
国土交通省(本省)のHPに「地方整備局工事成績評定実施要領」が掲載されています。工事の点数は、この実施要領に基づいて採点されています。
1.監督・検査・成績評定
(5)工事成績評定
[H25.3.25]
請負工事成績評定要領の運用の一部改正について
別添1(地方整備局工事成績評定実施要領)
別添2(地方整備局工事技術的難易度評価実施要領)
別添3(地方整備局工事成績評定通知実施要領)
http://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000052.html
地方整備局工事成績評定実施要領に掲載されている「改定細目別評定点採点表」に考査項目ごとの配点が載っています。
改定細目別評定点採点表
考査項目ごとの配点表
考査項目 | 得点割合 |
1.施工体制 | 7.4% |
2.施工状況 | 33.6% |
3.出来形及び出来ばえ | 40.8% |
4.工事特性 | 7.3% |
5.創意工夫 | 5.7% |
6.社会特性 | 5.2% |
7.法令遵守等 | 0.0% |
合 計 | 100.0% |
「2.施工状況」と「3.出来形及び出来ばえ」の2項目で全体の73.6%と大きな割合を占めています。
各検査官ごとの持ち点
検査官 | 持ち点 |
主任技術評価官 | 40.0 |
総括技術評価官 | 20.0 |
技術検査官 | 40.0 |
改定細目別評定点採点表を見ていくと、
- 採点者の誰がどの項目を採点するのか
- 各採点者の持ち点
- 項目ごとの点数
などが分かってきます。ある程度書面に目を通す時間のある主任技術評価官への書面は「内容が濃いもの」、完成検査時など書面を見る時間があまり無い総括技術評価官技術検査官に対しては写真や一覧表など「パッと見やすいもの」と言った感じで、採点者に伝わるようにアピールすると良いでしょう。
地方整備局工事成績評定実施要領に掲載されている「考査別運用表」を参考にして、見落としがちなポイントについて説明します。
http://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekou/pdf/130330seisekihyoutei_unyou02.pdf
1.施工体制
Ⅰ.施工体制一般
作業分担の範囲を、施工体制台帳及び施工体系図に明確に記載している
施工分担把握表では、一括下請のチェックや一次・二次の施工の詳細な分担を記載し施工体制を管理していることが表現できます。
元請が下請の作業成果を検査している
下請出来高調書は、下請の施工分担のどの部分がどの程度まで出来上がったを策定する書類です。毎月または完成時の下請作業成果の確認になると思います。元請としては、品質・出来形を満足していないと支払いができません。工事代金を支払うと言うことは、日々や工程ごとの検査に合格していると考えて良いと思います。
Ⅱ.配置技術者
現場代理人・監理(主任)技術者の役割分担をきちんと理解されていない現場を多く見ます。打合せなどをする際には、事前にそれぞれの役割を理解しましょう。意思疎通の図れ、現場として連携が取れているが重要です。どちらか片方だけが目立っても良い結果にならない時があります。
2.施工状況
Ⅰ.施工管理
施工計画書が、設計図書及び現場条件を反映したものとなっている
施工計画を見ていると、施工方法や安全管理など使い回しになっている計画書を見かけます。特に安全管理はとても多く、現場と全く関係無い項目が入っている計画書を見かけます。手間を省くためかと思いますが、工事点数を気にするのであれば、施工方法や安全管理は現場に沿ったものに編集すると良いと思います。
日常の出来形管理を、設計図書及び施工計画書に基づき適時及び的確に行っている
日常の品質管理を、設計図書及び施工計画書に基づき適時及び的確に行っている
自主での測定や立会時の資料に出来形・品質管理図表やその元となる資料(規格値などが入っているもの)で管理されると良いと思います。
工事材料の品質に影響が無いよう保管している
指定材料の品質証明書及び写真等を整理している
工事材料の保管時は、シートを掛けたり厘木(枕木)を敷いたりと材料ごとに何か養生を行うと思います。その保管状況の写真を撮影しておくと適切に工事材料を保管していることの証明に使えると思います。
Ⅱ.工程管理
実施工程表の作成及びフォローアップを行っており、適切に工程を管理している
施工計画の工程管理に「工程が○○%遅れた場合は、工程の見直しを行います」と記載しましょう。実際に遅れてしまった場合は、○○%遅れた時点で工程の見直しを行い、履行報告の見直しを行いましょう。また現場条件の変化等により工程に大きく影響が出る時なども適宜履行報告の見直しを行って良いと思います。
工事の進捗を早めるための取り組みを行っている
工事が進捗していくにつれて現場の状況が当初の計画と違う場合や、施工方法について再検討を行った結果、施工方法を変更したい場合があると思います。そんな時は、「○○の施工方法について検討した結果、施工方法を変更したく変更施工計画書を提出します。」と鑑に記載し、工程表や施工方法など変更部分のみで良いので、変更計画書を提出すると良いでしょう。
休日の確保を行っている
特記仕様書に
第○○条 工期
なお、休日には、日曜日、祝日、年末年始及び夏期休暇の他、作業期間内の全ての土曜日を含んでいる。
と記載されていませんか?
祝日と土曜日は休日となっている工事が多いと思います。工事が間に合わなかったり、日給月給の作業員が多く土曜日施工したい現場が多いと思います。現状では、休日作業の手続きは簡単です。特記仕様書に記載されていることは契約事項のため、元請・下請ともに頑張って休日にしましょう。
また、実施工程表や出面表などで休日を管理しておくと良いでしょう。
昨今では、働き方改革の一環で週休2日制はとても注目されています。
参考
国土交通省
ホーム>政策・仕事>技術調査>働き方改革・建設現場の週休2日応援サイト
http://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000041.html
Ⅲ.安全対策
安全教育及び安全訓練等を半日/月以上実施している
災害防止協議会等を1回/月以上行っている
安全教育・訓練や災害防止協議会の実施日を確認していると、立会日や打合せなどを行った日付と同日・同時刻になっていることを多々見かけます。「この日は立会やってますよね。日付を間違えているようなので再確認して下さい。」と、お話して、その場は終わりにすることは年に数回あります。
Ⅳ.対外関係
関係官公庁などと調整を行い、トラブルの発生が無い
関連工事との調整を行い、円滑な進捗に取り組んでいる
労働基準監督署に行ったり、警察署に行ったりと何か許可の確認や調整などしていませんか?週間工程表を作成して近隣工事や発注者側にメールで送ったり、出張所で行われる週間あるいは月間工程会議などに出席していませんか?
これらの事を行っているのに、「やってない」と回答する方がいます。もったいないですよ!
簡単な議事録やメモ程度で良いので記録として残しておくと良いですよ!
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