工事現場には、施工体系図や建設業の許可票などたくさん掲示物があります。そこで、法的に必要な掲示物やその根拠についてまとめてみました。
施工体系図
工期中の掲示が建設業法により義務付けられています。
公共工事は、工事現場の工事関係者が見やすい場所、公衆の見やすい場所の2箇所に掲示が必要になります。(兼用可能な場合は1箇所でも可)
民間工事は、工事関係者に見やすい場所に掲示が必要になります。
(例)施工体系図
- 建設業法 第二十四条の七
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます) - (施工体制台帳及び施工体系図の作成等)
第二十四条の七
特定建設業者は、発注者から直接建設工事を請け負つた場合において、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になるときは、建設工事の適正な施工を確保するため、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事について、下請負人の商号又は名称、当該下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければならない。
2 前項の建設工事の下請負人は、その請け負つた建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせたときは、国土交通省令で定めるところにより、同項の特定建設業者に対して、当該他の建設業を営む者の商号又は名称、当該者の請け負つた建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を通知しなければならない。
3 第一項の特定建設業者は、同項の発注者から請求があつたときは、同項の規定により備え置かれた施工体制台帳を、その発注者の閲覧に供しなければならない。
4 第一項の特定建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事における各下請負人の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し、これを当該工事現場の見やすい場所に掲げなければならない。
- 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 第15条
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます) - (施工体制台帳の作成及び提出等)
第十五条
公共工事についての建設業法第二十四条の七第一項、第二項及び第四項の規定の適用については、これらの規定中「特定建設業者」とあるのは「建設業者」と、同条第一項中「締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になる」とあるのは「下請契約を締結した」と、同条第四項中「見やすい場所」とあるのは「工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所」とする。
2 公共工事の受注者(前項の規定により読み替えて適用される建設業法第二十四条の七第一項の規定により同項に規定する施工体制台帳(以下単に「施工体制台帳」という。)を作成しなければならないこととされているものに限る。)は、作成した施工体制台帳(同項の規定により記載すべきものとされた事項に変更が生じたことに伴い新たに作成されたものを含む。)の写しを発注者に提出しなければならない。この場合においては、同条第三項の規定は、適用しない。
3 前項の公共工事の受注者は、発注者から、公共工事の施工の技術上の管理をつかさどる者(次条において「施工技術者」という。)の設置の状況その他の工事現場の施工体制が施工体制台帳の記載に合致しているかどうかの点検を求められたときは、これを受けることを拒んではならない。
参考資料
出典:e-Govウェブサイト
建設業の許可票
建設業法により、建設業の営業及び建設工事の施工が、同法による許可を受けた建設業者によって施工されていることが分かるように、営業所や建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所への標識の掲示が義務付られています。
- 建設業法 第四十条
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます) - (標識の掲示)
第四十条
建設業者は、その店舗及び建設工事の現場ごとに、公衆の見易い場所に、国土交通省令の定めるところにより、許可を受けた別表第一の下欄の区分による建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
- 建設業法施行規則 第二十五条
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます) - (標識の記載事項及び様式)
第二十五条
法第四十条の規定により建設業者が掲げる標識の記載事項は、店舗にあつては第一号から第四号までに掲げる事項、建設工事の現場にあつては第一号から第五号までに掲げる事項とする。
一 一般建設業又は特定建設業の別
二 許可年月日、許可番号及び許可を受けた建設業
三 商号又は名称
四 代表者の氏名
五 主任技術者又は監理技術者の氏名
2 法第四十条の規定により建設業者の掲げる標識は店舗にあつては別記様式第二十八号、建設工事の現場にあつては別記様式第二十九号による。
建設業法施行規則 様式第二十八号(店舗用)
建設業法施行規則 様式第二十九号(現場用)
営業所用(35cm以上×40cm以上)と現場用(25cm以上×35cm以上) ではサイズに違いがあります。
参考資料
出典:e-Govウェブサイト
労災関係成立票
労災保険関係成立票を見やすい場所に掲示することが法律で必要となっています。また、労災関係保険成立票の書式・大きさについても法律で決まっています。
- 労働者災害補償保険法施行規則 第四十九条
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます) - (法令の要旨等の周知)
第四十九条
事業主は、労災保険に関する法令のうち、労働者に関係のある規定の要旨、労災保険に係る保険関係成立の年月日及び労働保険番号を常時事業場の見易い場所に掲示し、又は備え付ける等の方法によつて、労働者に周知させなければならない。
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則 第七十七条
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます) - (建設の事業の保険関係成立の標識)
第七十七条
労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業に係る事業主は、労災保険関係成立票(様式第四号)を見やすい場所に掲げなければならない。
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則 様式第4号
参考資料
出典:e-Govウェブサイト
下請負人に対する通知
施工体制台帳作成が必要になった工事現場では、下請負人への書面による通知と現場の見やすい場所へ掲示が必要になります。
下請業者への通知書面の作成例
下請負人となった皆様へ 今回、下請負人として貴社に施工を分担していただく建設工事については、建設業法(昭和24年法律第100号)第24条の7第1項の規定により、施工体制台帳を作成しなければならないこととなっています。 1.建設業法第24条の7第2項の規定により、遅滞なく、建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)第14条の4に規定する再下請負通知書を当社あてに次の場所まで提出しなければなりません。また、一度通知いただいた事項や書類に変更が生じたときも、遅滞なく、変更の年月日を付記して同様の通知書を提出しなければなりません。 2.貴社が工事を請け負わせた建設業を営む者に対しても、この書面を複写し交付して、「もしさらに他の者に工事を請け負わせたときは、作成建設業者に対する1.の通知書の提出と、その者に対するこの書面の写しの交付が必要である」旨を伝えなければなりません。 作成特定建設業者の商号 ○○建設(株) |
現場に掲示する文面例
この建設工事の下請負人となり、その請け負った建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせた方は、遅滞なく、○△作業所まで、建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)第14条の4第1項に規定する再下請負通知書を提出してください。 一度通知した事項や書類に変更が生じたときも変更の年月日を付記して同様の書類を提出してください。 ○○建設(株) |
- 建設業法施行規則 第十四条の三
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます) - (下請負人に対する通知等)
第十四条の三
建設業者は、作成建設業者に該当することとなつたときは、遅滞なく、その請け負つた建設工事を請け負わせた下請負人に対し次に掲げる事項を書面により通知するとともに、当該事項を記載した書面を当該工事現場の見やすい場所に掲げなければならない。
一 作成建設業者の商号又は名称
二 当該下請負人の請け負つた建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせたときは法第二十四条の七第二項の規定による通知(以下「再下請負通知」という。)を行わなければならない旨及び当該再下請負通知に係る書類を提出すべき場所
参考資料
出典:e-Govウェブサイト
建設業退職金共済制度適用事業主の現場標識
現場事務所および工事現場の見やすい場所に「建設業退縮金共催制度適用事業主工事現場標識」(シール)の掲示が必要です。
出典: 建設業退職金共済事業本部
http://www.kentaikyo.taisyokukin.go.jp/index.html
- 公共工事の入札及び適正化を図るための措置に関する指針 第2措置5(3)ハ
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます) 第2 入札及び契約の適正化を図るための措置
5 主として契約された公共工事の適正な施工の確保に関する事項
(3)施工体制の把握の徹底等に関すること
ハ その他元請業者の適切な施工体制の確保のため、工事着手前における工事実績を記入した工事カルテの登録の確認、工事施工中の建設業許可を示す標識の掲示、労災保険関係成立票の掲示、建設業退職金共済制度の適用を受ける事業主に係る工事現場であることを示す標識の掲示等の確認を行うこと。
参考資料
出典:国交省 公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針の一部変更について(平成26年9月30日 閣議決定)
https://www.mlit.go.jp/common/001056176.pdf
建設業退職金共済事業本部 Q&A
http://www.kentaikyo.taisyokukin.go.jp/qa/qa4-3.html
緊急時連絡表
緊急時の連絡先をまとめたものを現場の見やすい場所に掲示しておく必要があります。
作成例です。
- 労働安全衛生規則 第六百四十二条の三
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます) - (周知のための資料の提供等)
第六百四十二条の三
建設業に属する事業を行う特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われるときは、当該場所の状況(労働者に危険を生ずるおそれのある箇所の状況を含む。以下この条において同じ。)、当該場所において行われる作業相互の関係等に関し関係請負人がその労働者であつて当該場所で新たに作業に従事することとなつたものに対して周知を図ることに資するため、当該関係請負人に対し、当該周知を図るための場所の提供、当該周知を図るために使用する資料の提供等の措置を講じなければならない。ただし、当該特定元方事業者が、自ら当該関係請負人の労働者に当該場所の状況、作業相互の関係等を周知させるときは、この限りでない。
- 土木工事安全施工技術指針 1-4-5.(3)
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます) - 土木工事安全施工技術指針 平成29年3月
第1章 総則
第4節 工事現場管理
5.緊急通報体制の確立
(1) 関係機関及び隣接他工事の関係者とは平素から緊密な連携を保ち,緊急時における通報方法の相互確認等の体制を明確にしておくこと。
(2) 通報責任者を指定しておくこと。
(3) 緊急連絡表を作成し,関係連絡先,担当者及び電話番号を記入し,事務所,詰所等の見やすい場所に標示しておくこと。
参考資料
出典:e-Govウェブサイト
出典:国交省
ホーム>積算基準等>監督・検査・工事成績評定・土木工事共通仕様書関係
2.土木工事共通仕様書・施工管理基準等
(6)土木工事安全施工技術指針等
https://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekou.html
作業主任者
作業主任者を選任した場合は、その作業主任者に行わせる作業および氏名を現場の見やすい場所に掲示する必要があります。
作成例
- 労働安全衛生規則 第十八条
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます) - (作業主任者の氏名等の周知)
第十八条 事業者は、作業主任者を選任したときは、当該作業主任者の氏名及びその者に行なわせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。
参考資料
出典:e-Govウェブサイト