施工体制台帳とは

公共工事を施工していると、「施工体制台帳」を作成し提出する機会が多いと思います。作成には、とても手間がかかり苦労されている方が多くいます。ここでは、「施工体制台帳とは」「何に基づいて施工体制台帳を作成するのか」「誰が作成するのか」などについてまとめました。

 

施工体制台帳とは

施工体制台帳とは、建設業法・公共⼯事の⼊札及び契約の適正化の促進に関する 法律に基づいて、現場の工事を施工する体制をまとめたものです。施工体系図は、工事を施工する全ての業者名、各会社の施工範囲、各工事を担当する技術者の氏名など各下請負人の分担を表示した図で、工事現場の見やすい場所に掲げます。(一般的に施工体系図は施工体制台帳に含まれています)

施工体制台帳は、工事を施工する全ての業者名、各会社の施工範囲、各工事を担当する技術者の氏名を記載した台帳になります。

 

参考資料

出典:国土交通省中国地方整備局 建設業法に基づく適正な施工体制についてQ&A 【平成31年3月改訂版】

http://www.cgr.mlit.go.jp/chiki/kensei/kensetu/kensetu.htm

出典:国土交通省  施工体制台帳等活用マニュアル

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000057.html

 

なぜ必要なの?

建設業法 第24条の7および公共⼯事の⼊札及び契約の適正化の促進に関する法律 第15条により作成が必要になります。

参考資料

建設業法 第二十四条の七
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(施工体制台帳及び施工体系図の作成等)

第二十四条の七 

 特定建設業者は、発注者から直接建設工事を請け負つた場合において、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になるときは、建設工事の適正な施工を確保するため、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事について、下請負人の商号又は名称、当該下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければならない。

2 前項の建設工事の下請負人は、その請け負つた建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせたときは、国土交通省令で定めるところにより、同項の特定建設業者に対して、当該他の建設業を営む者の商号又は名称、当該者の請け負つた建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を通知しなければならない。

3 第一項の特定建設業者は、同項の発注者から請求があつたときは、同項の規定により備え置かれた施工体制台帳を、その発注者の閲覧に供しなければならない。

4 第一項の特定建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事における各下請負人の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し、これを当該工事現場の見やすい場所に掲げなければならない。

公共⼯事の⼊札及び契約の適正化の促進に関する法律 第十五条
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(施工体制台帳の作成及び提出等)

第十五条

公共工事についての建設業法第二十四条の七第一項、第二項及び第四項の規定の適用については、これらの規定中「特定建設業者」とあるのは「建設業者」と、同条第一項中「締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になる」とあるのは「下請契約を締結した」と、同条第四項中「見やすい場所」とあるのは「工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所」とする。

2 公共工事の受注者(前項の規定により読み替えて適用される建設業法第二十四条の七第一項の規定により同項に規定する施工体制台帳(以下単に「施工体制台帳」という。)を作成しなければならないこととされているものに限る。)は、作成した施工体制台帳(同項の規定により記載すべきものとされた事項に変更が生じたことに伴い新たに作成されたものを含む。)の写しを発注者に提出しなければならない。この場合においては、同条第三項の規定は、適用しない。

3 前項の公共工事の受注者は、発注者から、公共工事の施工の技術上の管理をつかさどる者(次条において「施工技術者」という。)の設置の状況その他の工事現場の施工体制が施工体制台帳の記載に合致しているかどうかの点検を求められたときは、これを受けることを拒んではならない。

出典:e-Govウェブサイト

 

どんな時に必要なの?

公共工事は下請契約をした時点で、民間工事は下請の総額が土木で4000万円、建築で6000万円に達する時に施工体制台帳の作成が必要になります。

参考資料

国土建第499~500号 施工体制台帳の作成等について(通知)(抜粋版)
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一 作成建設業者の義務

(1) 施工計画の立案

施工体制台帳の作成等に関する義務は、公共工事においては発注者から直接請け負った公共工事を施工するために下請契約を締結したときに、民間工事(公共工事以外の建設工事をいう。以下同じ。)においては発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の総額が 4,000 万円(建築一式工事にあっては、6,000 万円)以上となったとき

(2) 下請負人に対する通知

 公共工事においては発注者から請け負った建設工事を施工するために下請契約を締結したとき、民間工事においては下請契約の額の総額が4,000 万円(建築一式工事にあっては、6,000 万円)に達するとき

 

出典:国土交通省 施工体制台帳の作成等についての改正について

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000180.html

 

何が必要なの?

基本は、施工体制台帳、施工体系図、工事担当技術者台帳、 および添付書類です。

参考資料

建設業法 第二十四条の七
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(施工体制台帳及び施工体系図の作成等)

第二十四条の七 

 特定建設業者は、発注者から直接建設工事を請け負つた場合において、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になるときは、建設工事の適正な施工を確保するため、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事について、下請負人の商号又は名称、当該下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければならない。

2 前項の建設工事の下請負人は、その請け負つた建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせたときは、国土交通省令で定めるところにより、同項の特定建設業者に対して、当該他の建設業を営む者の商号又は名称、当該者の請け負つた建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を通知しなければならない。

3 第一項の特定建設業者は、同項の発注者から請求があつたときは、同項の規定により備え置かれた施工体制台帳を、その発注者の閲覧に供しなければならない。

4 第一項の特定建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事における各下請負人の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し、これを当該工事現場の見やすい場所に掲げなければならない。

出典:e-Govウェブサイト

 

国土建第499~500号 施工体制台帳の作成等について(通知)(抜粋版)
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます)
一 作成建設業者の義務
(4)施工体制台帳の作成方法
施工体制台帳は、所定の記載事項と添付書類から成り立っている。その作成は、発注者から請け負った建設工事に関する事実と、施工に携わるそれぞれの下請負人から直接に、若しくは各下請負人の注文者を経由して提出される再下請負通知書により、又は自ら把握した施工に携わる下請負人に関する情報に基づいて行うこととなるが、作成建設業者が自ら記載してもよいし、所定の記載事項が記載された書面や各下請負人から提出された再下請負通知書を束ねるようにしてもよい。ただし、いずれの場合も下請負人ごとに、かつ、施工の分担関係が明らかとなるようにしなければならない。

出典:国土交通省 施工体制台帳の作成等についての改正について

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000180.html

 

誰が作るの?

基本的に分担は以下のとおりになると思います。施工体制台帳全体の確認は元請けの義務になります。(実際には元請けさんが全て整理していることが大多数です)各社協力して速やかに作成すると良いと思います。

 

元請け施工体制台帳、施工体系図、工事担当技術者台帳、下請負人に関する事項
下請け再下請負通知書(2次下請け分)、再下請負関係(2次下請け分)
2次下請け再下請負通知書(3次下請け分)、再下請負関係(3次下請け分)
3次下請け以降以降は各々の下請けの書類を作成

参考資料
建設業法 第二十四条の七
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(施工体制台帳及び施工体系図の作成等)

第二十四条の七 

 特定建設業者は、発注者から直接建設工事を請け負つた場合において、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になるときは、建設工事の適正な施工を確保するため、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事について、下請負人の商号又は名称、当該下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければならない。

2 前項の建設工事の下請負人は、その請け負つた建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせたときは、国土交通省令で定めるところにより、同項の特定建設業者に対して、当該他の建設業を営む者の商号又は名称、当該者の請け負つた建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を通知しなければならない。

3 第一項の特定建設業者は、同項の発注者から請求があつたときは、同項の規定により備え置かれた施工体制台帳を、その発注者の閲覧に供しなければならない。

4 第一項の特定建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事における各下請負人の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し、これを当該工事現場の見やすい場所に掲げなければならない。

出典:国土交通省 施工体制台帳の作成等についての改正について

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000180.html

 

いつ作ればいいの?

公共工事は下請け契約を締結した時民間工事は下請契約の総額が4000万円(建築一式工事は6000万円)を超えた時、および施工体制に変更があった時に作成になります。

参考資料

国土建第499~500号 施工体制台帳の作成等について(通知)(一部抜粋)
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます)

一 作成建設業者の義務

(1) 施工計画の立案

施工体制台帳の作成等に関する義務は、公共工事においては発注者から直接請け負った公共工事を施工するために下請契約を締結したときに、民間工事(公共工事以外の建設工事をいう。以下同じ。)においては発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の総額が 4,000 万円(建築一式工事にあっては、6,000 万円)以上となったとき

(2) 下請負人に対する通知

 公共工事においては発注者から請け負った建設工事を施工するために下請契約を締結したとき、民間工事においては下請契約の額の総額が4,000 万円(建築一式工事にあっては、6,000 万円)に達するとき

出典:国土交通省 施工体制台帳の作成等についての改正について

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000180.html

 

ポイント

施工体制台帳を提出する立場側のポイント

発注者などの提出先(確認者)の確認する人により記載内容や添付書類が区々(まちまち)です。保険関係の添付書類など決まっていなものもあります。場所場所でローカルルールが沢山あります。施工体制台帳を提出する時は、ある程度作成してから提出先(確認者)に確認し、確認して貰うと良いでしょう。

いくつか工事を重ねて行くと施工体制台帳の作成に関してご自身の見解が出てくると思います。ご自身の見解をある程度形にしたら、一度提出先に確認して貰いましょう。施工体制台帳は突き詰めて行くと非常に手間が掛かります。(簡単に言うと、確認する人がOKと言う程度で良いと思います)

どのような考えで作成したのか説明できる「たたき台」になるところまで頑張って作成しましょう!

 

施工体制台帳を確認する立場側のポイント

施工体制台帳は、とても手間と時間がかかる書類です。今までの慣例で「あれが必要・あれがあれば分かりやすい」などの理由から添付が必要と判断しがちで、とても自己満足に陥りやすい書類です。何に基づいて必要なのか法律や契約事項の確認が必要です。本来ならば不要(法律・契約事項外)でも便宜上欲しい書類があれば、理由を明確にして話し合うことが必要かと思います。

どのような書類が何に基づいて必要なのか説明できるように把握しましょう!

 

施工体制台帳は、量が多く現場によっては変更回数も非常に多くなってしまうことがあります。作成者側と確認者側の双方で理解し手間が少なくなると良いですね!