土木工事電子書類スリム化ガイド

昭和52年3月の土木施工管理基準の全建統一を契機に、工事現場を担当する技術者を対象とした施工管理の手引き書として、昭和53年に「土木工事施工管理の手引き」の初版が発行されました。その後は、施工技術・施工管理技術の向上、土木工事の施工管理を効率的・円滑に実施できるよう改訂し運用されていました。
 平成17年4月に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が施行が制定され、昨今では書類の電子化・遠隔臨場やweb会議など建設工事を取り巻く環境が変化し、時代の変化に合わせて、平成20年に「工事書類作成マニュアル」、令和3年に「土木工事電子書類作成マニュアル」が発行さています。
 工事書類の簡素化を目的とし、平成30年2月に「土木工事書類スリム化ガイド」が策定され、令和3年9月に「土木工事電子書類スリム化ガイド」へと改訂されました。土木工事電子書類作成マニュアルと重複する内容が多く含まれていますが、土木工事書類スリム化ガイドで簡素化のポイントとなる部分を分かりやすく示していると思います。

土木工事施工管理の手引き

(昭和53年初版、昭和56年改訂、昭和61年改訂、平成2年2月改訂、平成4年11月改訂、平成10年4月改訂)

 

土木工事書類作成マニュアル(案)

(平成20年4月初版、平成21年3月改訂、平成23年4月改訂、平成30年6月改訂、令和元年7月改訂)

 

土木工事電子書類作成マニュアル

令和3年9月

 

土木工事書類スリム化ガイド

平成30年2月

 

土木工事電子書類スリム化ガイド

令和3年9月

平成30年に策定された土木工事書類スリム化ガイドは、令和3年9月に土木工事電子書類スリム化ガイドと改名され内容が改定ました。

※発行・改訂時期はこの記事作成時に確認できたものです。

 

目次

注意点

土木工事電子書類スリム化ガイドの位置づけは、紹介・留意になっています。(留意とは:気に留める、注意する)

特記仕様書や共通仕様書などの契約書類とは違い、必須事項ではありません。文字通り「提出書類を簡素化しましょう!」と言った意味合いの書類です。後述しますが、法令に規定されている書類は適正に作成する必要があります。例として施工体制台帳で一部の添付書類の提出が不要になりましたが、法令上は作成が必要な種類などがあるので注意が必要です。

 

土木工事電子書類スリム化ガイドのポイント

目的

作成書類の簡素化・役割分担・電子化や遠隔臨場・web会議などを活用し、工事の円滑な施工、受発注者双方の働き方改革の推進が目的となっています。

 

適用

関東地方整備局の令和3年10月1日以降の全ての工事(港湾・空港・営繕を除く)

 

ポイント

・工事書類の名称を土木工事電子書類に改訂

・設計審査会にて受発注者間で作成書類の役割の明確化

・会議などは原則ペーパ^レス

・概略発注工事の計画書作成は、準備工時は必要最低限とし、内容確定後に詳細計画書を作成

・遠隔臨場の活用

・創意工夫・社会性に関する実施状況は10項目まで

・完成検査は検査書類を10項目に限定した「検査書類限定工事」を活用

・作成・提出が不要、留意事項を明記

 

工事成績評定にかかわる創意工夫が10項目に絞られてました。創意工夫作成時に、どのようなポイントを押さえておけば良いのかは、こちらの記事を参考にして頂けると幸いです。

 

  

1.目的、運用

 このスリム化ガイドで書類の減らし方の紹介をしています。しかし、法令・契約上必要となる書類は作成して下さい。その辺りは、皆さん気を付けて下さいね。と言った内容です。

 

2.全ての書類は電子化
3.ASP(情報共有システム)の選定は書類不要
4.コリンズ登録は書類不要

2.全ての書類は電子化

工事書類は電子化して工事情報共有システム(ASP)や完成書類関連の納品もオンラインなど、webを利用し効率化を図りましょうと言った内容です。

 

3.ASP(情報活用システム)の選定書類は不要

以前は、特記仕様書へ情報共有システム機能要件が記載され、「本工事で使用する情報共有システムを選定し、監督職員と協議し承諾を得なければならない。」と言った内容になって工事が多くあったと思います。(最近の特記仕様書では、協議・承諾と言った文章は削除されています。)

また、数年前には発議日を気にする余り、ASP開通前の打合せ簿は紙で提出、ASP開通後のみ電子で納品と言ったローカルルールになっていた出張所などもあったかと思います。

最近の特記仕様書では、「利用開始日、必要なユーザーID、ディスク容量等の仕様やワークフロー機能の対象者等については、監督職員の確認を得た上で決定すること」と記載されている工事が多いと思います。これに関しては、打合せ簿の提出について考えると必要になると思います。私が勤務している場所では、この辺りはメールでやりとりをし、実際には打合せ簿にはしていません。

 

4.コリンズ登録は書類不要

コリンズの登録確認は、手続きを行うとシステムから担当の監督職員へメールが届きます。そのメールに則って監督職員が手続し、承認すれば良いことになりました。

以前は、「登録のための確認のお願い」に担当の監督職員にサイン・捺印してもらったものを電子化し、コリンズのシステムへ送る必要がありました。この手間が削減されたのは、良いことだと思います。

プロセスチェックをしていると、コリンズの変更忘れを時々見かけます。

工期の途中で契約変更になった時には、コリンズ変更の有無を確認しましょう!

5.設計審査会で役割分担を明確化
6.工事関係書類一覧表

 

5.設計審査会で役割分担を明確化

工事着手前に開催される設計審査会で打合せし役割分担を明確化します。

着手前に、関係機関との調整状況や結果、設計変更ガイドライン基づく内容、遠隔臨場、ICTなどについて打合せし、受注者・発注者がそれぞれ作成すべき書類を明確化します。

 

参考)設計審査会

国土交通省 関東地方整備局  > 技術情報 > 公共工事の品質確保 > 設計審査会/三者会議/ワンデーレスポンス

https://www.ktr.mlit.go.jp/gijyutu/gijyutu00000039.html

参考)設計変更ガイドライン

国土交通省 関東地方整備局 > 技術情報 > 公共工事の品質確保 > 設計変更・工事一時中止・設計照査

https://www.ktr.mlit.go.jp/gijyutu/gijyutu00000206.html

 

6.工事関係書類一覧表

工事関係電子書類一覧表:土木工事電子書類作成マニュアル(令和3年9月版)より

以前の書式に追加された赤枠内がポイントです。工事のお知らせや関係機関への届出、設計照査などの項目、誰が書類を作成するのか役割分担を明確化するための「作成書類役割分担」の欄が追加になっています。

 

 

7.施工計画書①
8.施工計画書②
9.施工計画書③

7.施工計画書①

工事内容が決まってから施工計画書を作成・提出すれば良いと記載されています。計画書をまとめるにあたり決まっていない事項は「後報」「別途詳細計画書を提出」と記載しておくと、後で整理しやすくなると思います。「後報」と「別途詳細計画書を提出」の使い分けは、その部分のみ(例:施工方法のみ)の場合は「後報」、工程・資機材・施工方法・施工管理・安全管理など多くの項目に記載が必要な場合は「別途詳細計画書を提出」にすると整理しやすくなると思います。

 

8.施工計画書②

わずかな数量の増減など、大きく影響しない場合は変更計画書の作成は不要になりました。

 

9.施工計画書③

変更計画書は変更箇所のみ抜粋して提出すれば良いことになりました。

施工計画書の変更箇所を分かりやすくするには、

・該当するページの変更箇所を赤字にする

・変更した箇所を囲い「変更箇所」と記載する

こんな対応で良いと思います。

 

8.設計図書の照査
9.設計審査会における書類簡素化

8.設計図書の照査

設計照査の結果による計画の見直しなどについては発注者の責任で実施し、受注者へ作成を指示する場合は発注者が費用を負担すると記載されています。発注者から指示を受けそうな場合は、技術力や費用面も考慮し事前に打ち合わせをすることをおすすめします。

 

参考)設計変更ガイドライン

国土交通省 関東地方整備局 > 技術情報 > 公共工事の品質確保 > 設計変更・工事一時中止・設計照査

https://www.ktr.mlit.go.jp/gijyutu/gijyutu00000206.html

 

9.設計審査会における書類簡素化

打合せの資料は、相手に伝われば良いので凝る必要はありません。既存の資料などを活用し、必要最低限の手間で良いと思います。資料の電子データは、情報共有システムなどを活用し共有すれば良いと思います。

いつの資料なのか後で分かるように、ファイル名へ日付を入れておくと良いと思います。(例:2022年2月2日→20220202ファイル名)

 

10.工事打合せ簿①
10.工事打合せ簿②

10.工事打合せ簿①

役割分担に基づき、資料を作成しましょう!

 

10.工事打合せ簿②

添付資料は必要最低限で良いと記載されています。過度の境界線は人それぞれ違うと思います。簡単な目安としては、完成検査時に受け答えをする方(現場代理人・監理技術者)が打合せ簿の内容を説明できる程度の資料で十分だと思います。

 

11.ワンデーレスポンス

11.ワンデーレスポンス

受注者から発注者への協議の「回答」または「回答予定日」をその日のうちに行い、工事のスムーズな進捗を目的とした取組です。早く回答が欲しい事項は、報・連・相のうち「相談」を早めに行い、相手の欲しい情報を欲しいタイミングで伝えるようにできるとスムーズにいくと思います。

国土交通省 関東地方整備局 > 技術情報 > 公共工事の品質確保 > 設計審査会/三者会議/ワンデーレスポンス

https://www.ktr.mlit.go.jp/gijyutu/gijyutu00000039.html

 

12.施工体制台帳①
12.施工体制台帳②
12.施工体制台帳③
12.施工体制台帳④

12.施工体制台帳①

施工体制台帳の添付書類は必要最低限とする。と記載されています。

不要な事例として

  • 建設業許可や警備認定許可証の写し

  • 請負会社の厚生年金や雇用保険加入を証明するものの写し

  • 監理技術者などの技術者届の写し

  • 見積依頼書の添付図面

  • 技術者配置要件以外の資格や実務経歴の写し

以上が添付不要な事例として記載されています。

注意が必要な点として 

施工体制台帳の提出時に添付が不要なだけで、実際には管理が必要な項目がほとんどです。

建設業法で定められている施工体制台帳の整備は必要です。

私がお世話になっている出張所では、土木工事電子書類スリム化ガイドの本来の目的の「手間の省力化」を考え、スリム化ガイドに合わせた編集は不要(任意事項)とし、建業法に基づいて整備された施工体制台帳はそのままでも受け取ることになっています。スリム化ガイド自体が留意(注意)事項なので、修正依頼や受取拒否の理由にはなりません。

12.施工体制台帳②

「作業員名簿」の変更は他様式の変更に併せて提出すれば良い。「作業員名簿」の添付書類は提出不要。

私自身の経験ですが、作業員名簿の変更については実際のところ受けたことがありません。

 

12.施工体制台帳③

工事担当技術者台帳、役割分担表の作成は不要。

2つとも元々不要の書類でした。役割分担表は、工事成績評定の面で考えると作成をおすすめします。

詳細については、下記の記事をご覧いただけると幸いです。

 

12.施工体制台帳④

監督職員、現場技術員、施工体制調査員は、書類の点検を電子データで行い、別途、紙の書類の提示や不要な書類の提示を求めないこと。

 

13.臨場確認①
13.臨場確認②
13.臨場確認③
14.臨場確認④
14.材料確認

13.臨場確認①

施工計画書作成段階で実施項目、頻度を確認。

頻度や項目は、特記仕様書、共通仕様書のとおりで良いと思います。

設計図書と現地の違いなど、後で契約変更の対象にしたい事項については、立会を行っていた方が良いと思います。

また、段階確認は、実際に臨場確認した時と机上確認では大きく資料が違います。机上確認では、施工管理記録、写真等の資料を提示し確認を受けることになります。中でも写真は撮影が大変な場合が多いです。受注者が指差しで確認している状況の写真は、ただ単に「私が確認したよ」と言った意味なので、施工管理記録と現場の状況(出来形・品質など)の証明にはなりません。程度はありますが、現場の状況を証明する写真を撮影・整理するのは大変な作業です。

私の経験になりますが、事前に机上確認について説明・情報を共有し、できる限り臨場をするよう調整しています。

 

13.臨場確認②

遠隔臨場を活用し、効率的な施工管理を実施。

遠隔臨場は便利なものですが、注意点もいくつかあると思います。

遠隔臨場にする項目、撮影機材、通信環境などを考慮し、効率的になる確認の選定が必要です。感覚的な部分を含む堤防の法線設置完了時、地盤改良などの施工サイクルなどは長時間となり撮影機材の動作やバッテリー切れなどが心配になってしまいます。

遠隔臨場は、まだ始まったばかりなので色々と試行錯誤な状況が続くと思います。

 

13.臨場確認③

監督職員、現場技術員の臨場写真、紙資料に手書きの実測値は不要。

・受注者は臨場確認のための新たな資料の作成は不要。

・監督職員、現場技術員が臨場した場合、臨場時の状況写真は不要。

・監督職員、現場技術員が確認した実測値は、電子的な方法で記録。

※紙資料に手書きした実測値やサインをスキャニングしてASPに保存する必要は無い

※(事例)現場でのタブレット等を用いた記録、現場でメモした実測値をテキスト機能を活用して記録

 

正式な手順では、

段階確認書:「予定時期の報告」→「予定の通知」→「確認書」の3巡

材料確認書:「確認書」の1巡

立会・確認願依頼書:「依頼書」の1巡

これらを確認した内容の書類を含めて、事前にASPにて発注者へ出す必要あります。特に段階確認書は3巡となるため、その都度適切に出していても混乱してしまいます。

私の経験例

正式な手順とは少々違いますが発注者・受注者とも省力化した私自身の経験例になります。

週間工程会議で現場臨場日について打合せ→現場で臨場確認→ASPへ書面の登録

私の勤務場所では、基本的にこの手順で行っています。

週間工程会議や週間工程表など契約外となってしまう手間ありますが、現場臨場時に双方顔を合わせて項目や記載内容、添付書類について確認し、記載間違いなどは、その場で手書きで修正してしまいます。現場で測定した実測値・日付・時間・立会者名なども、そのまま手書きで記入しています。

また、受注者は立会日時や項目などの記録用として写真を適宜撮影しています。(臨場時の写真撮影は共通仕様書記載のとおり不要と事前に説明し、記録用の写真を撮影したのであれば協力しますと、事前に説明しています)

立会後にASPへ登録し回覧しています。

 

ポイントは、発注者・受注者双方の理解・省力化、適切な記載内容の成果物を残すことにあると思います。

 

14.臨場確認④

現場技術員が監督職員への説明に使用する資料は現場技術員が作成。

・業務対象工事の契約の履行に必要な資料作成等

・業務対象工事の施工状況の照合等

・地元及び関係機関との協議・調整に必要な資料の作成

以上3つの項目中、臨場確認後に現場技術員が作成となるケースは、「施工状況の照合等」が多く、「契約の履行に必要な資料」が稀にあると言った感じです。「地元及び関係機関との協議・調整に必要な資料」の作成は、調査職員より指示がない限り作成したことがありません。

14.材料確認

・設計図書(共通仕様書・特記仕様書)で「確認を受ける」と指定された材料以外は不要。

・提出するミルシートは、電子ミルシートでも良い。

 

私自身の経験になりますが「確認を受ける」材料には、ほとんど当たったことがありません。JIS製品は対象外となり、特記に材料の品質・性能が記載されたことはありますが、「確認を受ける」とまで記載された材料には、ほとんど当たったことがありません。

私の勤務場所では、ある程度材料確認を行っています。表向きな理由としては、使用期限があるものやロットナンバーや鉄筋などの鋼番号など、実際に搬入された材料と書面の管理番号の確認など同じかどうかなど整合性や使用期限などのを行っています。

正直な話としては、施工プロセスチェックや工事評定の加点要素があるため行っています。お互い手間になりますが、少しでも工事評定が上がれば良いなと思い、双方合意の上で材料確認を行っています。

 

15.品質・出来形
16.品質証明

15.品質・出来形

「品質管理図表」・「出来形管理図表」のみ作成すれば良い

以前より、工程能力図やヒストグラムの作成は不要となっています。私が見かけたのは一昔前です。

測定結果一覧表の作成は不要になっていますが、現在でも時々見かけます。測定回数などが多い工事は、作成を奨励している訳ではありませんが、一覧表があると重宝されます。使用しているソフトなどで簡単に作成できるのであれば、付けた方が良いと思います。

 

出来形などが工事評定点に関わる部分は、この記事に記載しています

 

16.品質証明

品質証明の添付書類は提出不要(検査時の添付書類の提示も不要)

少し前までは、添付書類の提出や提示にて確認を行っていましたが、最近では全く確認をしていません。施工中の各段階にて「品質証明員が確認を行った」ことが重要視されてきています。発注者と週間工程会議などを行っている場合は、程よくアピールしておくと良いと思います。

 

17.工事履行報告書
18.休日・夜間作業届①
18、休日・夜間作業届②

17.工事履行報告書

実施工程%は、「請負代金」と「現場で施工した金額」で算出

・実施工程表は提出不要とし、「提示」とする

先行指示や清算変更となる事項がある場合、100%を越えてしまう場合があり、作成に悩むかと思います。全て私の経験ですが、全て当初契約ベースで管理して頂いています。本筋で考えると、その都度見直し変更するのが理想化と思いますが、契約金額が確定していない先行指示や、雑工の多い維持工事など未確定要素の多い工事で「その都度見直し」を行うと手間ばかりが増えてしまいます。

結論としては、未変更などのものは除いた「既契約上」で考えれば良いと思います。

 

18.休日・夜間作業届①

現道上の工事は、週間工程表等を提出すれば良い

・現道上の作業届は、週間工程表等の「作業日」、「作業時間」、「作業場所」、「作業内容」が把握出来る資料を提出すれば良い。

 

18、休日・夜間作業届②

現道上の工事以外の工事は、週間工程会議やASPによる監督職員への事前の「連絡」で良い(※口頭のみでの連絡は不可)

 

休日・夜間作業届に関して思うところは、「週間工程表」・「週間工程会議」といったワードが記載されています。最近では特記仕様書にも同様に記載されるようになってきています。しかしながら、「週間工程表の作成」「週間工程会議への出席」については、契約事項ではありません。あくまでも受注者にサービスして頂いているもので、当たり前ではありません。

この辺りを理解し、きちんと対応した受注者へは、工事評定点などで正当に評価すべき事項かと思います。

 

19.産業廃棄物管理表
20.排出ガス対策型・低騒音型建設機械の写真
21.特殊車両通行許可証
22.安全教育・訓練等の実施状況資料
23.支給品・貸与品

19.産業廃棄物管理表

マニフェストは監督職員への提示のみ、コピーの提出は不要

・契約数量の根拠としてもマニフェストのコピーの提出は不要。

・契約数量の根拠は、集計表のみの提出とし、マニフェストの提示を受けた監督職員、現場技術員が集計表を確認。

私が担当している工事では、電子マニフェストが多いので実際のところ集計表と一緒に提出されています。ASPで書類のやりとりをしていると、「提示」は実際に対面で書類の提示や、該当資料を別途メールで送付になります。ですが、別で作業を行うため手間が増えます。実際のところ、資料の一括化や手間の省力化を考え「わかりやすくて手間が少ない」方法を選択し、一緒に提出になっています。

 

20.排出ガス対策型・低騒音型建設機械の写真

使用する建設機械の写真撮影は不要

・施工プロセスチェック確認は、監督職員、現場技術員が現場で稼働している建設機械を確認。(監督職員、現場技術員は写真の提示を求めないこと)

 

21.特殊車両通行許可証

許可証は監督職員から請求があった場合のみ提示で提出不要

・特殊車両の走行中の写真撮影は不要

 

22.安全教育・訓練等の実施状況資料

・安全教育及び安全訓練等の実施状況を記録した資料は、整備・保管するが、監督職員の請求があった場合は、提示出来る体制とし、提出は不要。

 

23.支給品・貸与品

支給品・貸与品の「要求」について、書類の作成は不要

・受領又は借用後に、受領書又は借用書を監督職員を通じて発注者へ提出すれば良い。

 

24.工事現場の作業環境改善
25.創意工夫・社会性等に関する実施状況

24.工事現場の作業環境改善

実施報告書、実施写真(様式にまとめたもの)は作成不要

・土木工事写真管理基準に基づき撮影した写真は、必要。

今でも実際に提出されていることが多い書類の一つかと思います。書類が少なくなり、アピールできるところが減っているので、アピールポイントを報告したい時などに作成し提出して良いと思います。

スリム化ガイドや書類作成マニュアルで作成不要(受け取り拒否とまでは記載していません)となってる書類を提出したいときは、発注者へ一声掛けてから提出することをおすすめします。

 

25.創意工夫・社会性等に関する実施状況

説明資料は簡潔に作成し、最大でも10項目までの提出

・「自ら立案実施した創意工夫や技術力」および「地域社会や住民に対する貢献」として評価できる項目について、1工事につき最大10項目まで提出可能。

・10項目を超過した提出は認めない。

ちょっと強めの文章になっています。スリム化ガイドは、あくまでも「留意」です。10項目以上提出しても受け取り拒否の理由にはなりませんが、心象は悪くなります。

 

この記事を参考にして作成して頂けると幸いです。

 

26.工事検査①
26.工事検査②
26.工事検査③

26.工事検査①

工事検査は「検査書類限定型」を活用し10書類に限定して検査

・完成検査、既済部分検査、完済部分検査、中間検査を対象に、資料検査に必要な書類を限定し、監督職員と技術検査官の重複確認廃止の徹底及び受注者における説明用資料等の書類削減による効率化を図る。

 

26.工事検査②

・検査職員は、電子データで検査を行い、別途、紙の書類の提示を求めないこと。

最近の検査で、下請の出来高払いについて良く耳にします。下請けとのやり取りの書類(出来高がわかる書類、元受けが支払い部分の出来形を確認した書類など)は、どのように管理していますか?といった内容です。電子化されていれば良いのですが、紙の場合はその書面を提示し説明すれば良いと思います。完成検査時に時々出てくる質問です。参考にして頂けると幸いです。

 

26.工事検査③

不要な書類を作成しても工事成績評定では評価されない

・土木工事電子書類作成マニュアル及び本ガイドにおいて不要としている書類を作成しても、工事成績評定では評価されない。

・工事書類の見栄えは、工事成績評定に影響しない。

・工事概要説明資料(ダイジェスト版)等の工事検査のために新たな資料の作成不要。

・監督職員、検査職員は、不要な書類の提出、提示は求めないこと。

けっこう強めの文章が記載されています。この部分が一番の検査書類作成のポイントかと思います。

口での説明が難しかったり、特殊な工事、写真で表現した方が簡単に伝わる時など、検査官に工事の概要を知ってもらった方が良い項目などは、事前にダイジェスト版などの書面作成や該当の写真まとめておくなど一工夫した方が良い時があると思います。

 

最後に

私の経験上、上手に説明できる方は書類が少なめ、慎重派だったり口下手な方は書類が多めになる傾向があります。最初から検査時を意識しながら書類を作成すると、最終的には一番手間が少なくなる傾向にあります。

土木工事電子書類スリム化ガイドは留意(注意・気に留める)事項です。契約事項のように必須事項ではありませんが、施工者の負担を軽くするよう考えられたガイドかと思います。良い点・悪い点を踏まえ、より良い施工ができるような方向へ向かえれば良いと思います。