「施工プロセス」のチェックリスト(案)について(4/4)

「施工プロセス」のチェックリスト(案)について(4/4)は、安全管理や関連機関との調整などについてが主な内容になります。この記事で少しでも現場管理が楽になれば幸いです。

 

施工プロセスチェック(案)についての概要やプロセスチェック速やかに行うポイントはこちらにまとめています。

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施工プロセスチェックリストとは地方整備局工事成績評定実施要領に別紙で添付されているチェックリストで、工事成績評定資料の一部です。国土交通省の ホーム>政策・仕事>技術調査>監督・検査・工事成績評定[…]

 

「施工プロセス」のチェックリスト(案)について(4/4)

「施工プロセス」のチェックリスト(案)について(4/4)について項目ごとに説明していきます。

 

施工状況

工程管理

○工程管理

・フォローアップ等を実施し、工程の管理を行っている。(施工時適宜)

毎月初めに工事履行報告書を提出していれば十分かと思います。施工計画書の施工管理の工程管理の部分で「進捗が○○%遅れた場合は見直しします」等の内容が記載されている時は、実施工程と履行報告の見直しを適宜行うことをオススメします。

 

・現場条件変更への対応、地元調整を積極的に行い、その結果を書類で提出した。(施工時適宜)

現場が進捗していくにつれて、

  • 設計図と現場との相違が判明し打合せ簿で協議を行った(設計照査と重複してしまう部分もあると思います)
  • 工事の進捗に伴い、地元の方と調整した結果などを打合せ簿で報告

などの打合せ簿を出しておくと良いでしょう。

 

・作業員の休日の確保を行った記録が整理されている。(施工時適宜)

週休2日制対象の工事は、特記仕様書などにもよりますが「現場閉所届け」「週間工程表」「休日取得報告書」で十分かと思います。(現場閉所届けは、休日とする日の前までに必ず提出しましょう)

また対象外の工事は、作業員の出面表(建退共用のものと共用可)や日々作業予定を打合せをしている書面に翌日の作業は休工と記載しておくと良いでしょう。

 

安全対策

○安全活動

・災害防止協議会等を設置し、活動記録がある。(施工時適宜)

災害防止協議会(安全衛生協議会)は、月に1回以上実施し、開催内容の資料(議事録、参加者名簿、安全資料、月間工程等)を残しておきましょう。

災害防止協議会(安全衛生協議会)の設置・開催の頻度は、労働安全衛生規則により定められています。該当箇所を抜粋しました。

労働安全衛生規則 第二十三条
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(委員会の会議)
第二十三条 事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月一回以上開催するようにしなければならない。
2 前項に定めるもののほか、委員会の運営について必要な事項は、委員会が定める。
3 事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を次に掲げるいずれかの方法によつて労働者に周知させなければならない。
一 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
二 書面を労働者に交付すること。
三 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
4 事業者は、委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
一 委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容
二 前号に掲げるもののほか、委員会における議事で重要なもの
5 産業医は、衛生委員会又は安全衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができる。

労働安全衛生規則 第六百三十五条
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(協議組織の設置及び運営)
第六百三十五条 特定元方事業者(法第十五条第一項の特定元方事業者をいう。以下同じ。)は、法第三十条第一項第一号の協議組織の設置及び運営については、次に定めるところによらなければならない。
 一 特定元方事業者及びすべての関係請負人が参加する協議組織を設置すること。
 二 当該協議組織の会議を定期的に開催すること。
2 関係請負人は、前項の規定により特定元方事業者が設置する協議組織に参加しなければならない。

 

参考資料

出典:e-Govウェブサイト

 

・店社パトロールを実施し、記録がある。(施工時1回/月程度)

店社衛生管理者は、月に1回以上現場を巡視(パトロール)する必要があります。店社パトロールを実施した内容を残しておきましょう。指摘事項があった場合は、是正した内容を報告するようにし、書面に残しておくことが大切です。

店社安全パトロールの実施は、労働安全衛生規則により定められています。該当箇所を抜粋しました。

労働安全衛生規則 第十八条の八
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(店社安全衛生管理者の職務)
第十八条の八 法第十五条の三第一項及び第二項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 少なくとも毎月一回法第十五条の三第一項又は第二項の労働者が作業を行う場所を巡視すること。
二 法第十五条の三第一項又は第二項の労働者の作業の種類その他作業の実施の状況を把握すること。
三 法第三十条第一項第一号の協議組織の会議に随時参加すること。
四 法第三十条第一項第五号の計画に関し同号の措置が講ぜられていることについて確認すること。

 

参考資料

出典:e-Govウェブサイト

 

・安全・訓練等を実施し、記録がある。(施工時適宜)

安全・訓練を行った記録(議事録、参加者名簿、教育資料など)を残しておきましょう。また、施工計画書の教育内容と合っているか確認し、内容が違う場合は理由を整理しておくことが大切です。

安全教育訓練は、土木工事共通仕様書より月に半日以上の時間(数日に分割可)を行うこととされています。共通仕様書の該当箇所を抜粋しました。

第1編 共通編 第1章 総則

1-1-1-26 工事中の安全確保

8.定期安全研修・訓練等
受注者は、工事着手後、作業員全員の参加により月当たり、半日以上の時間を割当て、以下の各号から実施する内容を選択し、定期的に安全に関する研修・訓練等を実施しなければならない。
(1)安全活動のビデオ等視覚資料による安全教育
(2)当該工事内容等の周知徹底
(3)工事安全に関する法令、通達、指針等の周知徹底
(4)当該工事における災害対策訓練
(5)当該工事現場で予想される事故対策
(6)その他、安全・訓練等として必要な事項

9.施工計画書
受注者は、工事の内容に応じた安全教育及び安全訓練等の具体的な計画を作成し、施工計画書に記載しなければならない。

10.安全教育・訓練等の記録
受注者は、安全教育及び安全訓練等の実施状況について、ビデオ等または工事報告等に記録した資料を整備及び保管し、監督職員の請求があった場合は直ちに提示するものとする。

 

参考資料

出典:土木工事共通仕様書(関東地方整備局)

http://www.ktr.mlit.go.jp/gijyutu/gijyutu00000035.html

 

・安全巡視、TBM、KY等を実施し、記録がある。(施工時適宜)

安全巡視、TBM、KY活動の記録を整理しておきましょう。いずれの記録も元請の現場の責任者が確認(サイン等)していることが大切です。

TBM、KY活動は、その日の作業内容・危険のポイント・安全対策を共有し安全に作業することを目的にしています。

また、統括安全衛生責任者は1日に1回以上現場の安全巡視を行う必要があります。

 

労働安全衛生法 第三十条
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(特定元方事業者等の講ずべき措置)
第三十条 特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。
 一 協議組織の設置及び運営を行うこと。
 二 作業間の連絡及び調整を行うこと。
 三 作業場所を巡視すること。

労働安全衛生規則 第六百三十七条
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(作業場所の巡視)
第六百三十七条 特定元方事業者は、法第三十条第一項第三号の規定による巡視については、毎作業日に少なくとも一回、これを行なわなければならない。
2 関係請負人は、前項の規定により特定元方事業者が行なう巡視を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。

 

参考資料

出典:e-Govウェブサイト

 

・新規入場者教育を実施し、記録がある。(施工時適宜)

新規入場者教育を行った結果をまとめておきましょう。その現場に合わせた資料(工事内容、周辺の状況、安全注意事項など)を添付しておくことがポイントです。

労働安全衛生規則 第六百四十二条の三
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(周知のための資料の提供等)
第六百四十二条の三 建設業に属する事業を行う特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われるときは、当該場所の状況(労働者に危険を生ずるおそれのある箇所の状況を含む。以下この条において同じ。)、当該場所において行われる作業相互の関係等に関し関係請負人がその労働者であつて当該場所で新たに作業に従事することとなつたものに対して周知を図ることに資するため、当該関係請負人に対し、当該周知を図るための場所の提供、当該周知を図るために使用する資料の提供等の措置を講じなければならない。ただし、当該特定元方事業者が、自ら当該関係請負人の労働者に当該場所の状況、作業相互の関係等を周知させるときは、この限りでない。

 

参考資料

出典:e-Govウェブサイト

 

・過積載防止に取り組んでいる記録がある。(施工時適宜)

荷姿で管理の時は、

  • 土砂・砕石・As合材…荷台の嵩高すり切り(均した状態)
  • AS・Co塊…嵩高から20cmまで

これ以上積むと過積載になる恐れがあります。

チェックリスト等を作成し、記録として残すと良い評価に繋がると思います。

施工初期・中期のタイミングで、トラックスケールなどで重量を量ると良いでしょう。(ダンプの自重計はあまり信用されていない場合が多かったりします。)

どのような形で過積載の管理をするかは腕の見せ所ですが、管理した記録を残すことが大切です。

 

・使用機械、車両等の点検整備等が管理され、記録がある。(施工時1回/月程度)

作業で使用する機械の始業前点検は、日々行っていると思います。下請任せにせず、元請が確認することが大切です。使用機械点検表を見ると、使用者がチェックしているだけで、元請が確認していない場合を良く見かけます。日々元請が確認したことが言えるような書式の点検表で管理しましょう。

 

・重機操作で、誘導員配置や重機と人との行動範囲の分離措置がなされた点検記録等がある。(施工時適宜)

この項目は???になってしまう方が多い感じがします。

機械の配置や現場の状況が毎日変化する工事現場では、日々作業計画を作成する必要があります。

法令により作成することが義務付けられているので、少々手間ですが頑張って作成しましょう。

 

作業計画書の書式例です

 

労働安全衛生規則 第百五十五条
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(作業計画)
第百五十五条 事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、あらかじめ、前条の規定による調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行なわなければならない。
2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。
一 使用する車両系建設機械の種類及び能力
二 車両系建設機械の運行経路
三 車両系建設機械による作業の方法
3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項第二号及び第三号の事項について関係労働者に周知させなければならない。

労働安全衛生規則 第百五十七条
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(転落等の防止等)
第百五十七条 事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行うときは、車両系建設機械の転倒又は転落による労働者の危険を防止するため、当該車両系建設機械の運行経路について路肩の崩壊を防止すること、地盤の不同沈下を防止すること、必要な幅員を保持すること等必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は、路肩、傾斜地等で車両系建設機械を用いて作業を行う場合において、当該車両系建設機械の転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、誘導者を配置し、その者に当該車両系建設機械を誘導させなければならない。
3 前項の車両系建設機械の運転者は、同項の誘導者が行う誘導に従わなければならない。
第百五十七条の二 事業者は、路肩、傾斜地等であつて、車両系建設機械の転倒又は転落により運転者に危険が生ずるおそれのある場所においては、転倒時保護構造を有し、かつ、シートベルトを備えたもの以外の車両系建設機械を使用しないように努めるとともに、運転者にシートベルトを使用させるように努めなければならない。

労働安全衛生規則 第百五十八条
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(接触の防止)
第百五十八条 事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、運転中の車両系建設機械に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に、労働者を立ち入らせてはならない。ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系建設機械を誘導させるときは、この限りでない。
2 前項の車両系建設機械の運転者は、同項ただし書の誘導者が行なう誘導に従わなければならない。

 

・山留め、仮締切等の設置後の点検及び管理の記録がある。(施工時適宜)

山留め・仮締切などは、万が一崩壊した際に重大な被害に繋がるケースが多いと思います。もしも、点検を行っていなかったり、記録を残していなかったりすると、かなり「安全に対する意識が低い」と思われてしまいます。 ポイントを整理したチェックリストなどを作成し、記録を残しておきましょう。

 

・足場や支保工の組立完了時や使用中の点検及び管理がチェックリスト等により実施され、記録がある。(施工時適宜)

足場や支保工を点検した記録を残し、まとめておきましょう。

 

・保安施設等の整理・設置・管理が的確であり、記録がある。(施工時適宜)

作業範囲の明示や注意喚起の看板や安全通路などの状況を確認した記録になります。所属している会社の書式があると思いますが、現場の状況に合っているか確認し、現場に合った書式で管理することが大切です。

○安全パトロールの指摘事項の処理

・各種安全パトロールでの指摘事項や是正事項について、速やかに改善を図り、かつ関係者に是正報告した記録がある。(施工時適宜)

自社や協議会の安全パトロール時の指摘事項を是正した記録はまとめておきましょう。全く指摘無しの場合は、パトロールを実施した記録があれば良いと思います。

 

○関係機関等

・関係官公庁等の関係機関との折衝及び調整をした記録がある。(施工時適宜)

労働基準監督署や関連する、市町村、県、国、警察、消防、NTT、東電、ガス、水道などとの記録となっているので、許可証や打合せや電話連絡をした時のメモなどを残しておきましょう。

 

・地元住民等との施工上必要な交渉、工事の施工に関しての苦情対応を適切に行い、記録がある。(施工時適宜)

地元説明会への出席や、近隣住民からの苦情・要望などがあった場合に発注者へ知らせると思います。その時に簡単なメモなどを残しておけば良いと思います。文面のとおり「記録がある」となっているので、メモ書きを残しておけば十分かと思いますが、監督職員等によっては打合せ簿が必要と言われることもあるので、記録の残し方を軽く相談しておくと良いと思います。

 

・隣接工事又は施工上密接に関連する工事の請負業者と相互に協力を行っている記録がある。(施工時適宜)

国交省直轄工事の場合の多くは、週間工程表や月間工程表を提出していたり、週間工程会議などを行っていませんか?

契約上のお話をすると、工事の進捗管理は、履行報告を提出となっていて、実施工程表は提示となっています。(週間や月間の工程表の提出や工程会議を行う義務はありません。)

実際には、週間・月間工程表の提出や工程会議へ出席し、発注者や関連工事との調整を行っているので、十分に協力・調整をしていると思います。