「施工プロセス」のチェックリスト(案)について(3/4)

「施工プロセス」のチェックリスト(案)について(3/4)は、施工計画や出来形・品質など施工管理についてが主な内容になります。この記事で少しでも現場管理が楽になれば幸いです。

 

施工プロセスチェック(案)についての概要やプロセスチェック速やかに行うポイントはこちらにまとめています。

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「施工プロセス」のチェックリスト(案)について(3/4)

「施工プロセス」のチェックリスト(案)について(1/4)について項目ごとに説明していきます。

 

施工状況

施工管理

○設計図書の照査等

・契約書第18条第1項第1号から第5号に係わる設計図書の照査を行っている。(着手前、施工時適宜)

該当事項を確認した時は、打合せ簿などで通知することになります。照査の結果「特に問題無し」の時にも打合せ簿などで、問題無しの記録を残しておいた方が良いと思います。

どのような内容がこの項目の照査対象となるかを確認するには、「工事請負契約における設計変更ガイドライン」を参考にすると良いでしょう。

 

公共工事標準請負契約約款 第十八条
(右側の+ボタンを押すと本文が表示されます)
第十八条 乙は、工事の施工に当たり、次の各号の一に該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。
 一 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと
   (これらの優先順位が定められている場合を除く。)
 二 設計図書に誤謬又は脱漏があること
 三 設計図書の表示が明確でないこと
 四 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと
 五 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと
2 監督員は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら前項各号に掲げる事実を発見したときは、乙の立会いの上、直ちに調査を行わなければならない。ただし、乙が立会いに応じない場合には、乙の立会いを得ずに行うことができる。
3 甲は、乙の意見を聴いて、調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは、当該指示を含む。)をとりまとめ、調査の終了後〇日以内に、その結果を乙に通知しなければならない。ただし、その期間内に通知できないやむを得ない理由があるときは、あらかじめ乙の意見を聴いた上、当該期間を延長することができる。
4 前項の調査の結果において第一項の事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、次の各号に掲げるところにより、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
 一 第一項第一号から第三号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるもの甲が行う。
 二 第一項第四号又は第五号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うもの甲が行う。
 三 第一項第四号又は第五号に該当し設計図書を変更する場合で甲乙協議して工事目的物の変更を伴わないもの甲が行う。
5 前項の規定により設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、甲は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。

※ 調査の終了後〇日以内…14日以内としている場合が多いです。

 

参考資料

出典:国交省
ホーム>政策・仕事>土地・建設産業>建設産業・不動産業>建設業>建設工事標準請負契約約款について

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000092.html

 

参考

国交省 関東地方整備局
設計変更・工事一時中止・設計照査

http://www.ktr.mlit.go.jp/gijyutu/gijyutu00000027.html

 

・現場との相違事実がある場合、その事実が確認できる資料を書面により提出して確認を受けた。(着手前、施工時適宜)

現地を確認した結果、高さや延長・形状などを変更した方が良い場合が出てくると思います。その際は、打合せ簿などで協議を行うと思います。

この項目は、その協議を行ったかどうかを確認します。また、現場との相違が無い場合に「相違ありません」と言った書面を残す必要性はありません。

 

○施工計画書

・施工(変更を含む)に先立ち、提出した。(着手前、変更時)

現場着工前に施工計画書を提出したのか?施工途中で設計や施工方法等なにか変更があった際に、適切に施工計画書を変更しているか?などを確認します。当初の計画書一回で全てを記載し提出したい気持ちはよく分かります。協力業者と打合せが必要な工種なども出てくると思います。

施工計画の大まかな計画(各計画書が網羅している範囲、提出時期)を把握し、必要な時に必要な計画書を作成し、提出されることをオススメします。

 

・記載内容と現場施工方法と一致している。(施工時適宜)

施工方法、安全管理、交通管理、緊急時の対応などが、施工計画書に記載されている通りに実施されているか確認します。1つの施工計画書で全て網羅する、下請けを決めて打合せをしなければ施工計画を建てるのが難しいなど、工事ごとに施工計画書の作成の仕方は変わると思います。事前に、発注者と大まかな施工計画書の作成の流れついて打合せておくと良いでしょう。

 

・記載内容(作業手順書等)と現場施工体制が一致している。(施工時適宜)

施工の順序や手順、下請けを含む人員等の配置や資機材など施工する体制について確認します。基本は現場に臨場した際に確認となります。スナップ写真程度で良いので、作業手順書に沿って施工していることを作業が終わってしまってからでもアピールできるようにしておくと良いでしょう。

 

・記載内容が、設計図書・現場条件等を反映している。(着手前、変更時)

施工計画書の内容(特に施工方法、品質・出来形管理、安全管理)が、現場状況を反映しているか確認します。手持ちの計画書データを使って良いと思いますが、ポイントを押さえて現場沿った形に適宜変更すると良いと思います。

 

○施工管理

・工事材料管理

・工事材料の資料の整理及び確認がされ、管理している。(施工時適宜)

主に材料確認の立会時に、資料が整理されているか、適切に養生等が行われているかなど管理状況を確認します。立会時には、ミルシートやカタログ、伝票などで数量が分かるようにまとめておくと良いと思います。

 

・出来形、品質管理

・品質管理確保のための対策など施工に関する工夫を書面で確認できる。(施工時適宜)

工夫はたくさんあると思います。例としては、規格値を満足させるために社内規格値を設け、社内規格値を越えてしまった場合の処置・対策などを施工計画書に記載し施工すると良いでしょう。

 

・日常の出来形、品質管理が書面にて確認できる。(施工時適宜)

立会・確認時に自社で測った結果を書面にし、立会確認を依頼していると思います。最初から出来形・品質管理図表を作成し立会時の資料にすると手間が少なくなると思います。

 

・イメージアップ

・特記仕様書等に定められた事項や独自の取り組み又、地域等より評価されるものがある。(施工時適宜)

イメージアップ実施報告書や実施状況の写真などにより確認します。最近では、一般の方や建設業の将来の担い手に公共の工事や施設について、見学会などを開いて知ってもらえるようにすると良い評価になりそうです。

 

○検査(確認を含む)及び立会い等の調整

・監督職員の立会いにあたって、あらかじめ立会願いを提出している。(施工時適宜)

施工計画に記載した項目や不可視部分、現地が設計図書と違っている場合などは立会などを行うと思います。基本は前日までに提出していれば良いと思いますが、整理・処理の流れが人によって違うので、事前に確認・打合せしておくことをおすすめします。

 

・段階確認の確認時期が、適切である。(施工時適宜)

基本的な流れは立会・確認と同じです。立会・確認との大きな違いは、段階確認項目は特記仕様書や共通仕様書で定められていて、段階確認を行わないと次工程へ進むことができません。監督職員等が実際に現地で確認できない場合は、写真で確認(机上確認)すれば良いことになっていますが、自主で段階確認を行い、写真の撮影不足などがあった時に撮り直しがきかないので注意が必要です。(このトラブルは良く目にします)

 

○工事の着手

・工事着手を確認した。(特記仕様書に工事に着手すべき期日について定めがある場合は、その期日までに工事着手したことを確認した) (着手時)

何を以て着手とするかは色々とご意見があると思います。

私が良く目にするのは

  • 測量を行った
  • 工事看板を設置した
  • 仮囲いを設置した
  • 現場事務所を設置した
  • 施工箇所の除草をした

など、実際に現場で何か作業を行った場合が多いです。手帳にメモ書きや安全日誌などで「いつ」作業を開始したのか残しておくと良いでしょう。

 

○支給品及び貸与品

・受領予定14日前までに、品名、数量、品質、規格又は性能を記した要求書を提出した。(施工時適宜)

支給品受領書・精算書や建設機械などの借用書・返納書の書類は、立会の時に必要になると思います。その書類を整理しておくだけで良いと思います。

 

支給品の書類(例)

 

貸与品の書類(例)

 

○建設副産物及び建設廃棄物

・請負者は、産業廃棄物管理票(マニュフェスト)により適正に処理されていることを確認し、監督職員に提示した。(施工時適宜)

紙や電子版のマニュフェストで管理している状況や、産業廃棄物に関する契約(収集運搬や処理委託など)について整理しておきましょう。

 

・再生資源利用計画書及び再生資源利用促進計画書を所定の様式に基づき作成し、施工計画書に含め提出した。(施工時適宜)

当初の計画書や変更計画書(再生資源利用促進が変更になる場合のみ)に適宜添付して提出すれば良いと思います。また、建設副産物情報交換システム工事登録証明証で代用可能になる場合があります。

 

建設副産物情報交換システム工事登録証明証(例)

 

○指定建設機械類の確認

・指定建設機械(排出ガス対策型・低騒音型・低振動型建設機械)を使用している。(施工時1回程度)

基本的に、安全パトロールや現場臨場時(立会・確認、段階確認)に確認していると思います。正直なところ、機械の詳細までわかる方はそんなにいないと思います。ラベル(ステッカー)で確認しているのが大多数かと思います。写真などを撮って記録として残しておくと良いでしょう。